イシュタヨガ創設者アラン・フィンガー先生:ハタ、タントラ、アーユルヴェーダ

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 ヨギラジ・アラン・フィンガー氏は、イシュタヨガ(ハタ、タントラ、アーユルヴェーダの統合科学)の創設者でありYogin’ itファミリーの一員でもあります。朝の時間にも関わらず、光栄にも、ニューヨークにあるアラン氏のご自宅にて、素晴らしい人生についてお話を伺うことができました。彼は「ヨガを学んだことはない、幼い頃からヨガと共に生きてきたのです」と話されます。アラン氏は誠実で, 思いやりがあり、愛情にあふれた方です。また、スピリチュアルと科学をみごとに統合させたことで、アーサナ、瞑想、呼吸法、タントラ(ヨガ哲学)を学ぶことや、1日18分間、何も考えずに心を落ち着かせるトレーニングを重ねることがとても効果的である理由を生物学的に説明しています。彼はポジティブで穏やにもかかわらず、とてもパワフルでエネルギーに満ち溢れており、100%カパ・タイプのお方です。知恵とご好意を頂き、そして光を与えて頂いたアラン氏に感謝します。

Alan Finger, Founder of ISHTA Yoga, interviewed by Sonia Ribas for Yogin'it

ナマステ。アラン・フィンガーです。Yogin’itのソニアのインタビューに答えていきます。はじめに、なぜ私がヨガのトレーニングを始めたのか、そしてどのようにしてイシュタヨガの概念が作り上げられたかについて少しお話しましょう。

私の父は第二次世界大戦によってシェルショック(戦争神経症)に陥り、薬漬け、アルコール中毒になりました。私の祖父である彼の父は、とても裕福なビジネスマンだったのですが、そんな父をビジネスの世界へ引っ張ろうとしていました。しかし、父は薬とお酒に溺れる毎日ですから、ほとんどの時間を家の中で過ごし、きちんとした生活からはかけ離れていました。

ある時祖父は父をアメリカへ出張に行かせ、そこで彼はロサンゼルスのアンバサダーホテルに滞在することになったのです。すると、偶然にもそのホテルでヨガナンダがちょうど講義をしていて、父はお酒を飲んでいたものの、同僚と一緒にヨガナンダの講義に参加したのです。講義の後、ヨガナンダが父の元へやって来てお辞儀をしたようですが、父は状況を理解できていなかったと聞いています。ヨガナンダはそこで父に立つように言うと、父が有名なヨギになること、さらには父がクリヤヨガを教えることになることを予言したのです。その後、父はインドへ渡り、南アフリカに戻ってくると名高いヨギとなりました。また、ヨガナンダは息子の一人が父の後を追うとも付け加えていました。もちろん私のことです。

南アフリカから帰ってきた父はヨガし、ヨガを教え始めました。私が南アフリカに暮らしていた当時は、600万人の白人とインドの原住民がいたので、インドの人口はとても多く、勢いもありました。インド人たちは有名なスワミ、ヨギたちなどを自分たちの師として南アフリカに招いたのですが、そこで私たちは、まだ有名ではない頃のアイアンガーに会ったのです。

父はスワミやヨギたちを家に招待しました。3つの通りに囲まれた三角形の土地に私達の大きな家がありました。一部を晴らしいアシュラムに改装していたこともあって、私たちの家には精神的な修行をする場所もありましたし、スワミたちやヨギたちが来て滞在できるアパートもありました。

イシュタヨガの家系

イシュタヨガの家系

私はこのような先生たちに囲まれて育ち、15歳になる頃には、ヨガの修行を始めていました。実を言うと、先週の金曜日は私の65歳の誕生日でもあり、ヨガ修行50周年記念でもあったんですよ。私は毎朝、父が4時半に明かりをつけたり消したりするので目を覚ましていました。ネティ(鼻洗浄法)をし,下の階に降りて父とトレーニングをしていました。1時間半のプラーナヤマ(呼吸法)とクリヤをし、続けて1時間半のアーサナ(ポーズ)。アーサナの一部にはヘッドスタンド(頭立ちのポーズ)もありました。そのため、私たちは1日に30分間ヘッドスタンドの状態をキープしていなければなりませんでした。つまり、私は15歳の時からかなり激しいトレーニングをしていたというわけです。50年間ヨガの修行をしてきましたが、たったの7日だけトレーニングしない日がありました。そのうちの2日間は、まだ若かったこともあり、、トレーニングをしなかったらどうなるのかを確かめてみたかったのです。もちろん、はっきりとした影響は受けずることもなければ、啓発されることもなかったので、結局トレーニングを続けましました。

このようにしてイシュタは作り上げられていったわけです。しかし、こういった先生たちに囲まれていた若い頃、先生方が矛盾していることに気づきました。なぜそのような矛盾が生じるのだろうと疑問に思いましたね。呼吸法について、アイアンガーは、このようにすべきだと言い、またある先生は、違うムードラ(指の形)でさらに別のやり方でするべきだと言っていたのです。そこで、私は全ての先生に対して「どうして?ここは何が違うの?」と聞くと、「私たちはこうだからこうする。君がそれをこの方法ですると、違うエネルギーが君に入るんだよ。」と言いました。

簡単に言うと、矛盾しすぎていたので、情報をひとまとめにしたかったんです。様々な情報が溢れ過ぎていて、散らばり過ぎていたんです。私は宗教も信仰していなかったのですが、クリヤテクニック、アーサナ、呼吸法、ムードラのおかげで、ヨガを感じることができたんです。私は、ハタヨガ、タントラ、アーユルヴェーダであるインドの姉妹科学を全て学びました。それらは先生方であり、父であり、私が私たちの暮らしにもってきたものでもあったのです。私はこれらの科学を体系化させたかったのですが、そんなことは必要ないと、先生方全員に反対されました。しかし、私はヨガを世界に広めるべきだと分かっていたんです。ですから私たちがイシュタヨガのシステムをまとめたのです。

イシュタについて

イシュタとはハタ、タントラ、アーユルヴェーダの統合科学の頭文字をとったものです。しかし、イシュタヨガが意味するものは「ヨガとは何か?個々に合ったトレーニングとは何か?」ということなのです。人はそれぞれ皆違うのです。体、心、骨格、そして呼吸、全て異なります。「このトレーニングを行ってださい」や、「皆でそのトレーニングをするべきです」なんて言うのは適切ではないのです。何が自分にとって重要なのか、何が自分自身に合っているか、こういったことに重点を置いているのです。

ヨハネスブルグのアシュラム、南アフリカ

ヨハネスブルグのアシュラム、南アフリカ

ヨガ&ヨガによる効果について

ヨガとは、我々の体の機能を統治する細胞一つ一つと心が一つになるのを感じることなんです。私たちの体には70~100兆の細胞があり、それらをうまくコントロールしていく必要があります。これらの細胞をどうやってコントロールし、心と体のバランスが保たれている状態をどうやって維持するのか。それがまさにヨガの全てなのです。自分自身との調和がうまくできるようになると、次は宇宙との調和です。そのために、2種類のサマディが存在するのです。自身の心と体を一体化させる、サヴィカルパサマディと、宇宙との一体化を目指す、ニルヴィカルパサマディ。どちらも基本的には、「ヨガとは何か」を表してくれています。

では、サマディとは何でしょう?パタンジャリが「ヨガとは何か」を定義したものですが、それは今を生きるということです!しかし、今この瞬間から心がかけ離れていこうとする中、どのようにして今を生きられるのでしょう?ヨガやパタンジャリのアシュタンガは、vriti(ヴィルティ)や心の乱れを取り除く方法や、どう今に生きるかということを教えてくれています。Atha yoganusasanamはスートラの一番最初の項目で、ヨガの教えが今始まるとよく記述されていますが、違います。今がヨガであり、今にいることがヨガなのです。しかしサマディの状態になければ、今を捉えることは不可能です。ですから、アーサナ、呼吸法、クリヤは、二重でない場所に自分自身を置くことを目的としています。二重の世界にいなければ、じっと静寂に包まれていなければならないので。

アーサナが私たちに教えてくれることは素晴らしいものばかりです。体を開き、調節し、ハ(太陽)とタ(月)のバランスをとります。呼吸法は、心を穏やかにし、クリアにさせ、そしてほぐしてくれます。プラナ(気)のバランスをとるのです。

クリヤの技法は、意識を伴った状態で意識を整えることです。ただ何もせず、ずっと座っていれば良いのです。タントラとイシュタにもサーダナというものがります。1日18分間、静止して座って下さい。サーダナによって心と体が調整され、宇宙との一体感がもたらされるでしょう。ただ座って、1日に18分間じっとしているだけで良いのです。

マニ・フィンガー、スワミ・ヴェンカテサナンダ、アラン・フィンガー

マニ・フィンガー、スワミ・ヴェンカテサナンダ、アラン・フィンガー

18分?

18分という時間は、タントリックの先生たちと父が教えてくれました。「人間が深い眠りにつくにはデルタリズムが必要である」というニューヨークタイムズの記事について弟子から聞いたのは、私がニューヨークにいた頃でした。人間が体のシステムを完全にリフレッシュさせるのに必要な時間は、18分間なのです。たいていの人は1~2分しか深い眠りを取れておらず、ほとんどの時間は夢を見ているかレム睡眠にいます。ヨガがとても素晴らしいとされるのは、私たちをデルタの状態にしてくれるからです。デルタの状態ににし、その状態を持続させるために、様々な手法やトレーニング、クリヤが存在し、ヨガに魔法をかけるです。

パタンジャリが私たちにsiddhis(シッディ)(完全なる精神)とsamyama(サンヤマ)(完全に自己をコントロールする)のトレーニングについて、また、シッディはいかに起こるのかについてお話してくれた時、ただ幻覚を感じていた訳ではなかったんです。もちろん、信じ難いものもありましたが、シッディとは、宇宙の知恵を私たちの生活に取り込む方法が根本なのです。それは私の人生に刺激を与え、私と触れあうすべての人たちにも刺激を与えます。それが、ヨガは何かということなのです。もちろん、足の親指を耳に突っ込ませて、片手で立つことではありません。しかし言うとするなら、18分間じっと座っているための、身体のバランスを整えるトレーニングや、正しいバンダを見つける素晴らしいトレーニングになりえるということです。

ヨガを通じていかに人の役に立つか?

私はヨガを全ての人に伝えようとしています。そしてどのようにヨガをわかってもらうかを。私は先生方の流派を継いで修行し、シャクティを極めてきました。伝統的な流派を現代の生活に取り入れることができるなんて、素晴らしいことではありませんか。私たちには宗派も「イズム」みたいなものもほとんどありません。全ての人、一人一人の中にヨガがあり、ただそれを見出すだけなのですから。

ヨギとは?

ヨギとは、サマディに入り、18分間座っていられる人のことを言います。努力して18分間座り続ける人も、私はヨギとみなします。では何が必要か?そこに到達するのにアーサナ、呼吸法、クリヤが必要。ですが、座っていなくてはいけません。じっと座っていられなかったら、ヨガを習得できませんからね。ヨギとはヨガを習得した人のことです。ヨギとは今という時間の中に座っていられる人のことです。誰もがその能力を持っています。

ヴェンカテサナンダと二スレヤサナンダと一緒のマニ・フィンガー

ヴェンカテサナンダと二スレヤサナンダと一緒のマニ・フィンガー

啓発されたヨギのサインとは!?

私たちの身体にはシャクティ(エネルギー)と呼ばれる何かが秘められています。シャクティは、身体の中心よりも下位にある仙骨に備わる母なる自然の力です。全ての人がシャクティとともに誕生します。私たちの肉体が産まれると、シャクティは頭のてっぺんのshivas(シヴァス) からブラフマナディを通って,仙骨の中にとどまります。

残念ながら、私たちは、これまでに抱いてきた信念パターンの犠牲者なのです。赤ん坊は出てきて、頭を抱えて「大変だ!今日はどうやったらミルクがもらえるかな?」などとは言いません。赤ん坊はただそこにいて、ミルクが欲しいために泣きます。

しかし、私たちは完全なる人類なのです。私たちがどうなり、何を学んできたかを見てみてください。私たちの姿勢の起こりや私たちの学びを。ヨガにおける信念のパターンを、無知を意味するavidya(アヴィディヤ)と呼びます。それがあなたを真実の無知へと導くのです。それらの信念のパターンやアヴィディヤが、蛇のような渦巻状のクンダリニーを形成し、シャクティが身体に巡るのを通りにくくさせます。

ですから、息苦しくなればなるほど、シャクティが体中に影響を及ぼしにくくまります。プラナの流れが自由であればあるほど、シャクティが効果的となります。きらめきであり、輝きであり、命であり、全ての人を高揚させるのもの、それがヨギのサインなのです。

影響を受けた先生は?

私の父が一番です。彼はヨガの道においてはカヴィ・ヨギ・スワラナンダ・マニ・フィンガーという名前を授かっていました。そしてタントラを学んだシヴァナンダアシュラムのスワミ・ヴェンカテサナンダ。スワミ・二シュライサナンダはラマクリシュナミッションの科学者兼技術者で、私がとても感銘を受けた科学的才能の持ち主でした。

ヴェンカテサナンダは私にアーユルヴェーダ、マルマ(つぼ)、シャクティの誕生を教えてくれた人物。そしてそれこそが私が行け告いだ流派なのです。

シュッダナンダ・バラティは私にとって最後の先生でした。彼は2年間にたったの2回だけ私たちのところに訪れては、3週間滞在していたような方です。バラティは私たちが行っていた、タントラの教えを固めた人です。

以上の4名が私にとっての先生でしたが、アイアンがーに会った時には、彼がいおかにして自身の体と向き合っているのかを学びました。意識が伴っている状態で、どのように意識(心)と身体を結びつけるか、それを聞いてとても興奮したんです。そして、彼が体と一体になった瞬間を目にした時、何か素晴らしいものが私の中で目覚めたのです。私はドーシャ(生命エネルギー)、プラナ、チャクラを身体とリンクさせたいと思いました。どうやったら3つの身体を精密にし、3つ全てのshariras(シャリラス)(三身体)を一緒に機能させられるかを明確にしたかったのです。

マタジ、サラスワティと一緒のマニ、アラン・フィンガー

マタジ、サラスワティと一緒のマニ、アラン・フィンガー

ヨガを始めてみたい人にむけてのメッセージ

自分に合った先生を見つけてみて下さい。運動が好きで汗をたくさんかきたいという人なら、ビクラムのクラスに行くかもしれませんし、もしあなたがピッタ体質であったら、全員に同じ手順で、同じ暑さの中、同じことを教えるビクラムのクラスでは、身体に負担がかかって逆効果かもしれません。

ですから、本当に自分に合った先生、正しいトレーニングに出会うことです。とあるタイプのヨガに魅力を感じたら、そのヨガクラスに行くかもしれませんが、様々なタイプのヨガを経験することで自分自身が成長し、それはあなた自身のためのイシュタヨガの発見であります。精神が豊かになり、18分間何もしないでじっと座り、一体になることができるようになるのです。

Yogin’ itコミュニティにメッセージをどうぞ。

鍛錬し続け、私と一緒にクリヤヨガをしましょう。どのように自分自身を満たすかを学び、なにもせずただじっと座っているだけという極地を見出し、ヨガという大きなイメージを得ましょう。そうすれば人生も正しい方へ向かうでしょう!