岐阜市中途失聴、難聴者協会主催「アイヨガ」を実施しました。

日時:6月19日(日) 1:30~3:00 (その後希望者で茶話会3:00~4:00)

会員の方、スタッフの方や会員のご家族なども合わせて14名の参加でした。

そのうち、ヨガ初体験の方が半分ほどおられました。

要約筆記(パソコンで私の言葉を打ち、文字は壁と天井のスクリーンで表示)の方も4名おられ、交代で私の言葉を通訳(?)していただきました。

皆さんの理解の方法は、スクリーンの文字で/補聴器で/補聴器+口の動きで、

など、多様でした。

私も特殊なマイクを使い、ワイヤーから出る特殊な音か振動で音を拾う人もおられるので、マイクをなるべく使って話をしてくださいということでした。

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注意点は大きく二つを考えました。

一つ目はやはり言葉や注意、呼びかけの問題です。レッスンでは、一度動き始めると、注意や指導の言葉が届かない点にまず気を付けなくてはと考えました。

また、中途失聴/難聴という、後天的な障害をお持ちだということで、他の疾病や不調を抱えている可能性を考え、通常レッスンよりケガを防ぐ呼びかけをさらに丁寧にしようと思いました。

ヨガをする前に、注意点を「丁寧にゆっくり動く/呼吸を止めない/比べない、競わない」というポイントで、実際の例を体を使って見せ、簡単な理由も踏まえて少し時間をかけて説明しました。また「無理なく無駄なく、自分のバランスを見つけて行いましょう」と呼びかけました。

また、山本先生からもご指摘いただいたように、指導の言葉もシンプルで短めに区切り、ゆっくり、はっきりを心がけました。

もう一つの注意点は、アイヨガなので目のケアはもちろんですが、首、肩こりほぐしやリラックスを重点的に行おうと思いました。

聴覚を補うため、情報収集に視力を非常に酷使しておられるだろうこと、そして、日常で緊張状態が続く時間も長いだろうと想像しました。

レッスン中は指示が聞こえにくい分、状況確認のため目を閉じるのを不安に思われている方が多いということでした。

交感神経が優位になり、肩、首こりも相当なものだろうと考え、しっかり笑ったりリラックスをしてもらうよう、レッスンを工夫しました。

関節ほぐしや肩甲骨回しなども丁寧に行い、シャバアーサナの説明も十分して、不安なくゆっくり休んでもらう時間をとろうと考えました。

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(実際のメニュー)

レッスン開始

・中途失聴、難聴者協会スタッフさんからのご挨拶、講師紹介

・講師ご挨拶

・ヨガを行うに当たっての注意点

アイヨガレッスン

(準備)

・体じゃんけん(体全体でグー、チョキ、パーを作りじゃんけん)

・関節ほぐし(手首ぶらぶら、肩甲骨回し、首回しなど)

(アイヨガエクササイズ)

・眼球エクササイズ

・フェイスじゃんけん

・猫の変形ポーズ

・前後開脚えいふう押し

・開脚前屈

シャバアーサナ(途中講師が参加者の体線を直し、両足ゆらし)

以上のメニューで行いました。

EPSN1665内容としては、少しずつ説明し、文字がスクリーンに表示されるまで少し待ち、実際に皆さんと少しずつ行いという工程で、実質的には時間は倍というより、3倍くらいかかった気がします。90分という所要時間は守りたかったので、補足ポーズを省き、中指ほぐしも省きましたが、山本先生の素晴らしいアイヨガのエッセンスとコンセプトをシンプルにお伝えするよう努力しました。

参加者の皆さんは常に笑顔で、楽しそうにアイヨガを行われ、シャバアーサナから起きてこられた時は「あっ、スクリーンの字がはっきり見える!」「重かった肩が嘘のように軽い!」と嬉しそうに話されている方が多く、希望者で行った視力チェックでも、レッスン後では明らかに答えるスピードと正確性が増し、ほとんどの方が0.3~0.8ポイントの向上がありました。皆さんと拍手したりハイタッチして、喜びを分かち合いました。

茶話会でも、「アイヨガが楽しかった」、「比べない、競わないというコンセプトが心に残り、安心して取り組めた」「肩こり、首こりが本当に楽になった」など、ありがたい感想をいただきました。

印象に残ったのは、「先生がシャバアーサナの時にしてくれた、あのすごく気持ちの良いのは何だったのでしょうか?」というご質問でした。大変短い時間に行った両足ゆらしなのに、やはり緩めるということが大切だったのだなと思いました。

私が「それは。。講師からの愛です。」と半分冗談(半分本気)で答えると「え~??」という反応を期待したのですが、「あぁ、なるほど~」とにっこり笑ってうなずかれる方が多く、素直に私の言葉を受け取っていただけて、これも嬉しかったです。

ちょうどこの前日に、山本ヨガ研究所での新研究科で、山本先生から沖導師の興味深いお話、クラス運営の注意点などの貴重なお話をいただいた中で、「講師の皆さんは会員の方に“愛”を伝えてね」と先生から言われたとき、ふと「私の生徒さんへの愛は、皆さんにふさわしい形で届いているだろうか。」と考えたのですが、図らずも次の日のアイヨガで、新研究科の内容を踏まえてレッスンもでき、参加者の皆さんが私からの愛を自然に受け取ってくださっていたということになります。

参加者の方、企画し準備を重ねてくださった協会のスタッフの方々、そしてボランティアで黙々と要約筆記をしてくださった方々、そして講師と、どの人が欠けても成立しなかったこのヨガの企画。

「協調、つながり、愛、健康、平和」という、ヨガのコンセプトを皆さんが具現化し、その時間、感動、喜びを分かち合えたことは、私のヨガ史の大切な一ページとなりました。

この機会を与えてくださった岐阜の方々、そして山本先生、アドバイスくださった佐藤みどり先生に、心から深く感謝いたします。

以上、今後難聴者の方々に初めて指導される方々にも、稚拙ながら少しでも参考にしていただければと思い、長くなりました。お読みいただきありがとうございます。

合掌 - Aum Shanthi –

橋本悦子 ( 山本ヨガ研究所講師)